2012年4月発刊の創薬関連書籍
2010 年 10 月に刊行された The Art of Process Chemistry が翻訳されて アート オブ プロセスケミストリー: メルク社プロセス研究所での実例 として今月出版されました。本日の Amazon 価格では原著が 12,627 円に対して日本語版が 6,825 円と約半額です。
◆ 和書
・ アート オブ プロセスケミストリー: メルク社プロセス研究所での実例
・ 医薬品のプロセス化学(第2版)
・ 海から生まれた毒と薬
・ 疾患克服をめざしたケミカルバイオロジー〜がん医療や創薬に貢献するin vivoイメージングと生体機能解析・制御の最前線(実験医学増刊 Vol.30 No.7 )
・ 製剤への物理化学
・ 日本の医薬品構造式集〈2012〉
・ 薬学・生命科学のための有機化学・天然物化学
・ 分析化学のべからず171 準備から実験までの"やってはいけないこと”がわかる!
◆ 洋書
・ Fluorine in Pharmaceutical and Medicinal Chemistry: From Biophysical Aspects to Clinical Applications
・ Pharmacokinetics and Metabolism in Drug Design
・ Designing Multi-Target Drugs
・ Practical Process Research and Development - A guide for Organic Chemists, Second Edition
・ Drug Synthesis Book Set
・ Therapeutic Proteins: Strategies to Modulate Their Plasma Half-lives
・ Targeted Molecular Imaging
・ Predictive Approaches in Drug Discovery and Development: Biomarkers and In Vitro / In Vivo Correlations
・ NMR of Proteins and Small Biomolecules
・ Management of Chemical and Biological Samples for Screening Applications
・ Introduction to Pharmaceutical Chemical Analysis
・ Anticarbohydrate Antibodies: From Molecular Basis to Clinical Application
・ Regenerative Medicine, Stem Cells and the Liver
・ Matrix Metalloproteinase Inhibitors: Specificity of Binding and Structure-activity Relationships
・ Biotargets of Cancer in Current Clinical Practice
・ Nanomedicine, Volume 508: Cancer, Diabetes, and Cardiovascular, Central Nervous System, Pulmonary and Inflammatory Diseases (Methods in Enzymology)
・ Boron and Gadolinium Neutron Capture Therapy for Cancer Treatment
気ままに創薬化学 2012年04月30日
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| 月別創薬関連書籍
2012年3月発刊の創薬関連書籍
◆ 和書
・ 薬学用語辞典
・ JAPIC医療用医薬品集 普及新版〈2012〉
・ シグナル伝達研究最前線2012 翻訳後修飾,解析技術,疾患との連関から創薬応用まで(実験医学増刊 Vol.30 No.5)
・ 膠原病学 改訂5版: 免疫学・リウマチ性疾患の理解のために
◆ 洋書
・ Molecular Imprinting
・ Constitutional Dynamic Chemistry
・ Microneedle-mediated Transdermal and Intradermal Drug Delivery
・ Targeted Molecular Imaging
・ Physiologically-Based Pharmacokinetic (PBPK) Modeling and Simulations: Principles, Methods, and Applications in the Pharmaceutical Industry
・ New Technologies for Toxicity Testing
・ Stephens' Detection and Evaluation of Adverse Drug Reactions: Principles and Practice
・ Peptide Folding, Misfolding, and Nonfolding
・ NMR of Proteins and Small Biomolecules
・ Activity-Based Protein Profiling
・ Advances in Mitochondrial Medicine
・ Polypharmacology in Drug Discovery
・ Nanotechnology and Nanomedicine in Diabetes
・ Nano-Antimicrobials: Progress and Prospects
・ Bayesian Methods in Structural Bioinformatics
気ままに創薬化学 2012年04月08日
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| 月別創薬関連書籍
ベンゼン、ビシクロペンタン、キュバン
ベンゼン、シクロブタン、ビシクロペンタン ではビシクロペンタンがベンゼンの等価体として機能する場合もあること、そして、ビシクロペンタンはベンゼンに比べて 1 Åほど短くなることを紹介しました。では、ベンゼンにより近い長さの炭化水素は何でしょうか?そのひとつの答えがキュバンです。
置換基の向きは保ったまま、長さはかなりベンゼンに近くなりました。ただし、8 炭素使っているので個人的には分子量や脂溶性がすこし気になるところです。上の図は 最近の生物学的等価体まとめ で紹介した論文から引用させていただきました。詳細についてはこちらの論文とそのリファレンスをご参照ください。
置換基の向きは保ったまま、長さはかなりベンゼンに近くなりました。ただし、8 炭素使っているので個人的には分子量や脂溶性がすこし気になるところです。上の図は 最近の生物学的等価体まとめ で紹介した論文から引用させていただきました。詳細についてはこちらの論文とそのリファレンスをご参照ください。
気ままに創薬化学 2012年04月07日
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| 相互作用・配座・等価体
ベンゼン、シクロブタン、ビシクロペンタン
今回は Pfizer が最近力を入れてそうな bicyclo[1.1.1]pentane (以下、ビシクロペンタン) について。
まずは 2011 年 JMC、Pfizer の Hsp90 inhibitor [論文1]。ウレアの置換基を市販のアミンを検討してシクロブチル基を見出した後、代謝安定性を高めた等価体としてビシクロペンチル基へと展開しています。シクロブチル基の 1 位と 3 位を 1 炭素でつないだ構造ですね。
私が興味をもった理由は、構造がユニークであるのに加えて、2011 年 OL にわざわざ合成法が報告されていたためです [論文2]。ビシクロペンチルアミンは市販ではないため、自社で大量合成法を開発。合成法の詳細は論文に譲りますが、通算収率で従来法が 10 %のものを 62 %まで改善し、コストも 1/50 に削減できたようです。さらに論文中には "To support our ongoing drug discovery programs" との記載もあり、合成展開にこのアミンを積極的に取り入れているように思われます。また、更なる新合成法も開発中らしいこと、アミンだけでなくアルコールやシアンやクロライドの合成法なども検討中らしいことから、Pfizer はビシクロペンタン骨格に力を入れているような印象を受けました。
さて、ここで、これまでこのブログを読んでくださっていた方は、ある三段論法に気がついたかもしれません。というのは、シクロブチル環をオレフィンやベンゼン環の代わりに では 『ベンゼン → シクロブタン』 の展開 (これも Pfizer です) を、そしてこの記事では 『シクロブタン → ビシクロペンタン』 の展開を紹介しました。ならば、三段論法によって 『ベンゼン → ビシクロペンタン』 の展開の可能性が考えられます。笑
そして、最近それが報告されました、2012 年 JMC より、Pfizer の γ-Secretase Inhibitor [論文3]。下図のようにリンカー部のベンゼン環をビシクロペンタン環に置き換えることで、膜透過性や溶解性が向上し、脂溶性が下がり、マウスの動態も改善したそうです。ただし、長さとしてはベンゼン環に比べて 1 Å ほど短くなるとのこと。
『ベンゼン → シクロブタン』 も、『シクロブチル → ビシクロペンタン』 も、『ベンゼン → ビシクロペンタン』 も、すべての場合で使える展開ではないとは思いますが、ひとつの可能性として面白い展開ではないでしょうか。あと、もし試薬のサプライヤーの方がこのブログを見ておられましたら、ビシクロペンチル基をもったビルディングブロックの販売を検討されてはいかがでしょうか? (→ ベンゼン、ビシクロペンタン、キュバン へ続きます)
[論文1] "Optimization of Potent, Selective, and Orally Bioavailable Pyrrolodinopyrimidine-Containing Inhibitors of Heat Shock Protein 90. Identification of Development Candidate 2-Amino-4-{4-chloro-2-[2-(4-fluoro-1H-pyrazol-1-yl)ethoxy]-6-methylphenyl}-N-(2,2-difluoropropyl)-5,7-dihydro-6H-pyrrolo[3,4-d]pyrimidine-6-carboxamide" J. Med. Chem. 2011, 54, 3368.
[論文2] "Scalable Synthesis of 1-Bicyclo[1.1.1]pentylamine via a Hydrohydrazination Reaction" Org. Lett. 2011, 13, 4746.
[論文3] "Application of the Bicyclo[1.1.1]pentane Motif as a Nonclassical Phenyl Ring Bioisostere in the Design of a Potent and Orally Active γ-Secretase Inhibitor" J. Med. Chem. Article ASAP.
まずは 2011 年 JMC、Pfizer の Hsp90 inhibitor [論文1]。ウレアの置換基を市販のアミンを検討してシクロブチル基を見出した後、代謝安定性を高めた等価体としてビシクロペンチル基へと展開しています。シクロブチル基の 1 位と 3 位を 1 炭素でつないだ構造ですね。
私が興味をもった理由は、構造がユニークであるのに加えて、2011 年 OL にわざわざ合成法が報告されていたためです [論文2]。ビシクロペンチルアミンは市販ではないため、自社で大量合成法を開発。合成法の詳細は論文に譲りますが、通算収率で従来法が 10 %のものを 62 %まで改善し、コストも 1/50 に削減できたようです。さらに論文中には "To support our ongoing drug discovery programs" との記載もあり、合成展開にこのアミンを積極的に取り入れているように思われます。また、更なる新合成法も開発中らしいこと、アミンだけでなくアルコールやシアンやクロライドの合成法なども検討中らしいことから、Pfizer はビシクロペンタン骨格に力を入れているような印象を受けました。
さて、ここで、これまでこのブログを読んでくださっていた方は、ある三段論法に気がついたかもしれません。というのは、シクロブチル環をオレフィンやベンゼン環の代わりに では 『ベンゼン → シクロブタン』 の展開 (これも Pfizer です) を、そしてこの記事では 『シクロブタン → ビシクロペンタン』 の展開を紹介しました。ならば、三段論法によって 『ベンゼン → ビシクロペンタン』 の展開の可能性が考えられます。笑
そして、最近それが報告されました、2012 年 JMC より、Pfizer の γ-Secretase Inhibitor [論文3]。下図のようにリンカー部のベンゼン環をビシクロペンタン環に置き換えることで、膜透過性や溶解性が向上し、脂溶性が下がり、マウスの動態も改善したそうです。ただし、長さとしてはベンゼン環に比べて 1 Å ほど短くなるとのこと。
『ベンゼン → シクロブタン』 も、『シクロブチル → ビシクロペンタン』 も、『ベンゼン → ビシクロペンタン』 も、すべての場合で使える展開ではないとは思いますが、ひとつの可能性として面白い展開ではないでしょうか。あと、もし試薬のサプライヤーの方がこのブログを見ておられましたら、ビシクロペンチル基をもったビルディングブロックの販売を検討されてはいかがでしょうか? (→ ベンゼン、ビシクロペンタン、キュバン へ続きます)
[論文1] "Optimization of Potent, Selective, and Orally Bioavailable Pyrrolodinopyrimidine-Containing Inhibitors of Heat Shock Protein 90. Identification of Development Candidate 2-Amino-4-{4-chloro-2-[2-(4-fluoro-1H-pyrazol-1-yl)ethoxy]-6-methylphenyl}-N-(2,2-difluoropropyl)-5,7-dihydro-6H-pyrrolo[3,4-d]pyrimidine-6-carboxamide" J. Med. Chem. 2011, 54, 3368.
[論文2] "Scalable Synthesis of 1-Bicyclo[1.1.1]pentylamine via a Hydrohydrazination Reaction" Org. Lett. 2011, 13, 4746.
[論文3] "Application of the Bicyclo[1.1.1]pentane Motif as a Nonclassical Phenyl Ring Bioisostere in the Design of a Potent and Orally Active γ-Secretase Inhibitor" J. Med. Chem. Article ASAP.
気ままに創薬化学 2012年04月02日
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