生物学的等価体の例や文献を検索できる SwissBioisostere


今回は生物学的等価体 (Bioisostere) の例や文献を検索できる SwissBioisostere というサイトを紹介します。詳細は上記リンク先や Nucl. Acids Res. 2012 (Open Access) に書かれていますが、私なりに簡単にご紹介を。

このサイトは Swiss Institute of Bioinformatics 主催のウェブベースの無料サービスです。Matched Molecular Pairs (ある部分構造だけが置換されていて他の部分は全く同じ化合物の組み合わせ) を生物学的等価体として検索できるサービスで、生化学アッセイデータも同時に見ることができます。データは ChEMBL から抽出したもので、データポイントは 2000 万を超えているそうです。ちなみにデータを最新の状態に保つため、今後も定期的にアップデート予定とのこと。

さて、このサイトでの生物学的等価体の検索方法は 2 通りあります。1 つは特定の置換形式を検索する方法。例えば上の図のように描画して検索すると、R1 の部分は同じでピリジン環をモルホリン環に変換した例が出てきます。その際に、それらの化合物を含む文献の PubMed へのリンク、化合物の標的、標的に対する Bioactivity が構造の置換によって強くなったか弱くなったか変わらなかったか、Δ logP、Δ TPSA などの情報も見ることができます。

もう 1 つは特定の部分構造をどのように変換した例や文献があるかを検索する方法。例えば上の図で、右側のモルホリンの構造をすべて削除した状態で検索すると、ピリジンの 4 位の置換基は同じでピリジン環をどのような構造に置換した例があるかを一覧で表示してくれます。一覧の中から気になった構造をクリックすると、詳細画面 (1 つ目の検索方法と同じで、化合物の標的や文献へのリンクなど) が表示されます。

紹介文を書いておいて何ですが、文章では伝わりにくいと思いますので、ご興味ある方は是非一度触ってみてください。ただし、企業の方はご注意を。ウェブベースのサービスに自社化合物の構造を (どの程度) 入れていいのかは各社で方針や規定があると思いますので、問題ない範囲で構造を入力してくださいね。

気ままに創薬化学 2013年01月22日 | Comment(2) | サイト・ツール・本

2012年12月発刊の創薬関連書籍

新有機医薬品合成化学 ホルモンハンター: アドレナリンの発見 Reactive Drug Metabolites (Methods and Principles in Medicinal Chemistry) Molecular Similarity in Drug Design

和書
新有機医薬品合成化学
メディカル化学: 医歯薬系のための基礎化学
無菌医薬品GMP
生命(いのち)をつなぐドパミンの物語―抗精神病薬の薬理から
ホルモンハンター: アドレナリンの発見
がんワクチン治療革命
iPS細胞とは何か、何ができるのか
iPS細胞大革命 ―ノーベル賞 山中伸弥教授は世界をどう変えるか―
医療におけるデータマイニング講座

洋書
Reactive Drug Metabolites
Molecular Similarity in Drug Design
Drug Discovery: A Casebook and Analysis
A History of a cGMP Medical Event Investigation
Accelerating the Development of New Drugs and Diagnostics: Maximizing the Impact of the Cures Acceleration Network: Workshop Summary
Molecular Pharmacology: From DNA to Drug Design
Essentials of Pharmaceutical Preformulation
Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins, Second Edition
Concise Dictionary of Pharmacological Agents: Properties and Synonyms
Biomedical Applications of Peptide-, Glyco- and Glycopeptide Dendrimers, and Analogous Dendrimeric Structures
Antibody-Drug Conjugates and Immunotoxins: From Pre-Clinical Development to Therapeutic Applications
Lipidomics
GPCR Signalling Complexes - Synthesis, Assembly, Trafficking and Specificity
Protein Aggregation and Fibrillogenesis in Cerebral and Systemic Amyloid Disease
Protein Kinase CK2
Advances in DNA Repair in Cancer Therapy
Cell Death Signaling in Cancer Biology and Treatment
Stem Cell Biology and Regenerative Medicine in Ophthalmology
Systems Biology of Tuberculosis
Progress in Radiopharmacy

気ままに創薬化学 2013年01月04日 | Comment(0) | 月別創薬関連書籍