コンホメーション固定化にジアザアダマンタン環

2013 年、Pfizer の GPR119 agonist の報告より [論文]。下図の agonist、partial agonist、antagonist の構造から、"agonist conformation" に固定化したジアザアダマンタン (2,6-diazatricyclo[3.3.1.1~3,7~]decane) 骨格をデザインしたそうです。


しかしジアザアダマンタン環は市販されていないため、自前で合成を検討。論文中で悪戦苦闘も記述されていますが、最終的には下図のように市販の 1 級アミンから Hofmann–Löffler–Freytag reaction によってジアザアダマンタン環を合成したそうです。


最近の Pfizer は、ジアザアダマンタン環 (上記)、シクロブタン環 (過去記事)、ビシクロペンタン環 (過去記事) など興味深い環構造を創薬化学に積極的に取り入れているようですね。

[論文] "Design and Synthesis of Diazatricyclodecane Agonists of the G-Protein-Coupled Receptor 119" J. Med. Chem. 2013, 56, 301–319.
[関連] Saturated nitrogen heterocycles by intramolecular CH amination reactions (The Heterocyclist)

気ままに創薬化学 2013年02月26日 | Comment(0) | 相互作用・配座・等価体

PhenoFluor で Late-Stage の脱酸素的フッ素化反応


先日 フェノール類のフッ素化試薬 PhenoFluor 発売 をお伝えしましたが、つい昨日 PhenoFluor を使った Late-Stage 脱酸素的フッ素化反応が報告されました。

フェノール類をフッ素化できる試薬 PhenoFluor を開発した Tobias Ritter 先生らは、同試薬が脂肪族アルコールの脱酸素的フッ素化にも使えることを見出だしました。PhenoFluor を使うと、他の脱酸素的フッ素化試薬 (新しい脱酸素的フッ素化試薬 で紹介した比較的新しいものも含めて) では脱離などの副反応が起きてしまうような基質でもフッ素化できるそうです。官能基許容性が高く、種々の天然物や医薬分子のフッ素化に成功しています。創薬化学でも使えるかもしれませんね。

上図のような水酸基が複数存在する場合の選択性については、以下の 4 つで説明可能。
(1) 2、3 級アルコール存在下でも 1 級アルコールのフッ素化が選択的に進行する。
(2) 2 級アルコールの反応は遅く、β,β'-dibranched の基質では進行しない。ただしアリリックアルコールの場合を除く。
(3) 3 級アルコールは反応しない。ただしアリリックアルコールの場合を除く。
(4) 水素結合している水酸基は反応しない。

[論文] "Late-Stage Deoxyfluorination of Alcohols with PhenoFluor" J. Am. Chem. Soc. Article ASAP.

気ままに創薬化学 2013年02月13日 | Comment(0) | 合成化学