2013年6月の創薬関連書籍
極めるひとほどあきっぽい の著者の窪田良さんは加齢黄斑変性の新薬開発ベンチャー「アキュセラ」の設立者です。ネットで無料で読める窪田良さんのインタビュー記事として、例えば下記 4 つなどがありますのでご興味ある方はどうぞ。
・ 平均成功確率3万分の1に賭けた男(1)世の中の見えかたが変わる「実験」のすすめ
・ 平均成功確率3万分の1に賭けた男(2)「いいね!」の一言が、イノベーションを育てる
・ 1億2000万人の目を救う?まだ誰もつくっていない新薬の話を聞いてきた
・ 日本で起業するのはなぜ難しいのか――アメリカのほうが優れている点
◆ 和書
・ 極めるひとほどあきっぽい
・ 薬学生のための実践英語 CD付
・ 図解入門業界研究 最新医薬品業界の動向とカラクリがよーくわかる本
◆ 洋書
・ The Future of Drug Discovery: Who Decides Which Diseases to Treat?
・ Using Old Solutions to New Problems - Natural Drug Discovery in the 21st Century
・ Nanomedicine in Drug Delivery
・ DNA and RNA Nanobiotechnologies in Medicine: Diagnosis and Treatment of Diseases
・ Hydroxamic Acids: A Unique Family of Chemicals with Multiple Biological Activities
・ Advanced Delivery and Therapeutic Applications of RNAi
・ Transport in Biological Media
・ Drug-Drug Interactions for Therapeutic Biologics
・ Inhaler Devices: Fundamentals, Design and Drug Delivery
・ Pharmacogenomics: Methods and Protocols
・ Handbook of Therapeutic Biomarkers in Cancer
・ Cancer Immunotherapy, Second Edition: Immune Suppression and Tumor Growth
・ Oligomerization in Health and Disease, Volume 117
・ Multiple Sclerosis
・ Cystic Fibrosis
・ Genetic Variants in Alzheimer's Disease
・ Mystic Chemist: The Life of Albert Hofmann and His Discovery of LSD
気ままに創薬化学 2013年07月17日
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活性本体が微量不純物だったケース
今回は HTS hit の活性本体が微量不純物だったケースを 2012 年の論文から紹介します。
さて、まずは Merck の renal outer medullary pottasium channel (ROMK or Kir1.1) 阻害剤の報告 [論文1]。下図左の HTS hit は HPLC や NMR で良好な純度であることが示されていたにも関わらず、HPLC で再精製すると活性が消失してしまいまいた。LC-MS で詳細に調べると分子量 384 の微量不純物が見られ、この分子量から下図右の化合物を推定、実際に評価すると 100 倍の活性をもっていたそうです。つまり、下図左の化合物の活性は 1 %の微量不純物による活性だったのです。
次は Pfizer の kynurenine aminotransferase (KAT) II 阻害剤の報告 [論文2]。HTS hit として下図左の化合物が得られましたが、標品で再試験すると活性が大幅に減弱してしまったそうです。元の HTS のサンプルから微量不純物をクロマト精製し、構造を同定し、再合成し、評価したところ、下図右の化合物が活性本体であることがわかったそうです。
HTS hit に限らず、不純物が高活性を示すことはありえることなので気を付けないといけないですね。
[論文1] "Discovery of Selective Small Molecule ROMK Inhibitors as Potential New Mechanism Diuretics" ACS Med. Chem. Lett., 2012, 3, 367.
[論文2] "Discovery of Brain-Penetrant, Irreversible Kynurenine Aminotransferase II Inhibitors for Schizophrenia" ACS Med. Chem. Lett., 2012, 3, 187.
さて、まずは Merck の renal outer medullary pottasium channel (ROMK or Kir1.1) 阻害剤の報告 [論文1]。下図左の HTS hit は HPLC や NMR で良好な純度であることが示されていたにも関わらず、HPLC で再精製すると活性が消失してしまいまいた。LC-MS で詳細に調べると分子量 384 の微量不純物が見られ、この分子量から下図右の化合物を推定、実際に評価すると 100 倍の活性をもっていたそうです。つまり、下図左の化合物の活性は 1 %の微量不純物による活性だったのです。
次は Pfizer の kynurenine aminotransferase (KAT) II 阻害剤の報告 [論文2]。HTS hit として下図左の化合物が得られましたが、標品で再試験すると活性が大幅に減弱してしまったそうです。元の HTS のサンプルから微量不純物をクロマト精製し、構造を同定し、再合成し、評価したところ、下図右の化合物が活性本体であることがわかったそうです。
HTS hit に限らず、不純物が高活性を示すことはありえることなので気を付けないといけないですね。
[論文1] "Discovery of Selective Small Molecule ROMK Inhibitors as Potential New Mechanism Diuretics" ACS Med. Chem. Lett., 2012, 3, 367.
[論文2] "Discovery of Brain-Penetrant, Irreversible Kynurenine Aminotransferase II Inhibitors for Schizophrenia" ACS Med. Chem. Lett., 2012, 3, 187.
気ままに創薬化学 2013年07月10日
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