ベンジル位の置換基でN-ベンジルアミドの配座は大きく変わる

アミド、イソキサゾール、イソキサゾリン (2) の続報に、ベンジル位の置換基でN-ベンジルアミドの配座は大きく変わる(配座を制御できる)という興味深い知見が含まれていました [論文]

下図のように、ベンジル位に種々の置換基をもつN-ベンジルアセトアミドの配座を計算すると、無置換体では "extended" 型と "bent" 型の配座にはほとんどエネルギー差がなかったのに対し、メチル体やジメチル体では "extended" 型がやや優位、シクロアルキル体では "bent" 型が優位とのことです。シクロアルキル体のうち、シクロブチル体が最も "bent" 型が優位で、活性も最も高いようです。(論文には各化合物の torsional energy plot も載っています。下図は論文を元に気ままに創薬化学が独自にまとめた図です。)


ベンジル位の置換基でN-ベンジルアミドの配座がここまで大きく変わるのは興味深いですね。特にジメチル体とシクロプロピル体で(形やサイズは割と近いにも関わらず)優先配座が異なることには注意が必要かもしれません。メチル体やジメチル体で活性がなくて置換基が許容されないと思っていたら、実はシクロプロピル体では活性がある、なんてことも起こりえそうです。N-ベンジルアミドのベンジル位の置換基を検討する際には、"extended" 型優位の置換基(メチル体、ジメチル体など)と "bent" 型優位の置換基(シクロプロピル体、シクロブチル体など)の両方を合成した方がよさそうですね。

[論文] "Discovery of isoxazole voltage gated sodium channel blockers for treatment of chronic pain" DOI: 10.1016/j.bmcl.2009.07.135

気ままに創薬化学 2014年08月20日 | Comment(0) | 相互作用・配座・等価体