hERG の名前の由来

「カッコ良くてぇ〜、頭良くてぇ〜、身長高くてぇ〜、性格良くてぇ〜、金持ちでぇ〜、長男じゃない人を彼氏にしたいっ!」 なんて言う人を見ると苦笑いしてしまいますが、創薬化学者は 「活性が十分にあって、毒性や副作用が十分に弱く、動態も物性も良好で、周辺化合物を権利化可能で、商業的に大量合成できる化合物を作れっ!」 という期待に答えないといけません。

クリアしなければいけない副作用指標の 1 つに hERG 阻害作用があります。hERG は心筋の再分極を司るカリウムイオンチャネルで、これを阻害すると QT 延長による不整脈を引き起こしてしまうと言われています。つまり、hERG を阻害しない化合物を合成しなければなりません。意外と多くの化合物が hERG を阻害してしまうため、創薬化学者の頭痛の種になることもしばしばです。

では、hERG とは何の略でしょうか?

実は human Ether-a-go-go Related Gene の略です。Ether は合成化学者お馴染のエーテルのこと。a-go-go は実はアメリカのナイトクラブのダンスのことなのです。

hERGは、1960年代、William D. Kaplan (現在、カリフォルニア州ドアルテにあるCity of Hope Hospitaに在籍)により、ショウジョウバエにおいて見出されたether-a-go-go遺伝子のヒトホモログであることからhERG遺伝子と呼ばれる。この遺伝子に変異が生じたショウジョウバエをエーテルで麻酔すると、ダンスするように脚を震えさせたことから、カリフォルニア州ウエストハリウッドのナイトクラブ「ウィスキー・ア・ゴーゴー」において当時人気であったダンスにちなんでether-a-go-go遺伝子と命名された。
[参考] hERG (Wikipedia)

気ままに創薬化学 2009年11月01日 | Comment(0) | コーヒーブレイク
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