
・ オキセタンは gem-ジメチル基と同程度のファンデルワールス体積を占める。gem-ジメチル基をオキセタンに変えると脂溶性↓溶解性↑多くの場合で代謝抵抗性↑。
・ オキセタンは脂肪族ケトン基と同程度の水素結合受容性あり。一般に、カルボニル基をオキセタンに変えると脂溶性↑溶解性↓。アミドのカルボニル基をオキセタンにすると代謝抵抗性↓だが、ケトンのカルボニル基をオキセタンにすると代謝抵抗性↑の傾向。
・ アミン近傍にオキセタンを導入するとアミンの塩基性は低下 (α位で ΔpKa = -2.5〜-3.5、β位で ΔpKa = -1.5〜-2.0 程度)。
・ gem-ジメチル、オキセタン、カルボニルで近傍のコンホメーションが変化 (詳しくは論文参照)。
・ 上記のオキセタン化合物はオキセタン-3-オンから数ステップで合成可能。
私はオキセタンを試したことがなかったのですが、面白そうですね。できれば社内に中間体を幾つかストックしておくといいかなと思うのですが・・・。なお、オキセタンの他の合成法については論文のリファレンスあるいは Denmark グループのセミナー資料 (2009年) にまとまっています。
ちなみに、Roche 社はスピロオキセタンの次はスピロアゼチジンに力を入れているようで、ごく最近いくつか論文発表しています [論文4] [論文5]。スピロオキセタンやスピロアゼチジン類は特許性やケミカルスペースの観点からも合成展開やライブラリーに取り入れてみてもいいかもしれませんね。
[2010.12.04 追記]
先日、オキセタンの創薬化学と合成法に関するミニレビューが Angewandte に出ていました [論文6]。ご興味ある方はこちらも併せてどうぞ。
[論文1] "Oxetanes in Drug Discovery: Structural and Synthetic Insights" J. Med. Chem. Article ASAP.
[論文2] "Oxetanes as Promising Modules in Drug Discovery" Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 7736.
[論文3] "Spirocyclic Oxetanes: Synthesis and Properties" Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 4512.
[論文4] "Synthesis of Azaspirocycles and their Evaluation in Drug Discovery" Angew. Chem. Int. Ed. Early View.
[論文5] "Synthesis and Structural Analysis of a New Class of Azaspiro[3.3]heptanes as Building Blocks for Medicinal Chemistry" Org. Lett. Article ASAP.
[論文6] "Oxetanes as Versatile Elements in Drug Discovery and Synthesis" Angew. Chem. Int. Ed. Early View.
論文2,3は知りませんでした。明日早速打ち出して読みます。
えーっと・・・私も精読したわけではないですし、無理矢理 5 点にまとめているので興味を持たれたら必ず原著を読んでくださいね。ちなみに [論文1] は [論文2] [論文3] を含めた Article ですので、かなり重複した部分がありますので。
http://e-collection.ethbib.ethz.ch/view/eth:30903
上記の内容も含めて詳しくデザインも綺麗にまとめてあります。
情報ありがとうございます!とても有益な情報だと思いましたので、記事にして紹介させていただきました。
オキセタンの創薬化学 [追記]
http://medchem4410.seesaa.net/article/146557114.html
オキセタンの高脂溶性等価体であるジメチル基なら、下記のようにチタン試薬をケトンに作用させることで容易に合成できることは判明しているのですが、オキセタンはなかなか難しいですね……
http://reag.paperplane.io/00001206.htm
以前、多数の受託合成の会社に打診したところ、1社も「うちではできる」と言ってきたところはありませんでした。