芳香族 C-H トリフルオロメチル化反応、その他の C-H 官能基化反応


2011 年は創薬化学に使えそうな芳香族 C-H トリフルオロメチル (CF3) 化反応がいくつも報告されました。Baran らは NaSO2CF3 に tBuOOH [論文1]、MacMillan らは CF3SO2Cl に Ru 触媒と光 [論文2]、Qing らは CF3SiMe3 に Cu 触媒と酸化剤 [論文3] を使った芳香族 C-H トリフルオロメチル化反応を報告しています。

実際に、Baran や MacMillan の反応はすでにいくつかの製薬企業で使われているそうです [参考1]。マイルドな条件でトリフルオロメチルラジカルを発生させているのがミソで、市販の医薬品や天然物などでも CF3 化に成功しています。CF3 が入った化合物を最初から作りなおすのではなく、最終化合物や中間体を直接 CF3 化できる (可能性がある) のがいいですね。(ちなみに、芳香族 C-H トリフルオロメチル化ではなく、芳香族ハライドやボロン酸のトリフルオロメチル化反応については [論文4] の本文およびリファレンスなどをご参照ください)

・・・と書いているうちに、さらに Baran らが今日の JACS ASAP に C-H ジフルオロメチル (CF2H) 化反応を発表しています [論文5]。また、創薬化学で使えそうな C-H 官能基化反応 (Alkyl, Cycloalkyl, CF3, CH2OH, Sugars, Aryl, Oxetanes, Azetidines, Amides, Esters, etc. の導入反応) については 2011 年の文献にまとめられています [論文6]。プロセス化学でも、最近、興味深い C-H ラジカルアミノメチル化を使った JAK2 阻害薬 LY2784544 の合成が OPRD に報告されています [論文7]

これらの反応によって、これまで合成困難であった化合物も合成可能になるでしょう。あとは、それらをいかに薬のデザインや合成に活かすか、ですね。

[論文1] "Innate C-H trifluoromethylation of heterocycles" PNAS 2011, 108, 14411.
[論文2] "Trifluoromethylation of arenes and heteroarenes by means of photoredox catalysis" Nature 2011, 480, 224.
[論文3] "Copper-Catalyzed Direct C?H Oxidative Trifluoromethylation of Heteroarenes" J. Am. Chem. Soc. Article ASAP.
[論文4] "Copper-Catalyzed Trifluoromethylation of Aryl and Vinyl Boronic Acids with An Electrophilic Trifluoromethylating Reagent" Org. Lett. 2011, 13, 2342.
[論文5] "A New Reagent for Direct Difluoromethylation" J. Am. Chem. Soc. Article ASAP.
[論文6] "Minisci reactions: Versatile CH-functionalizations for medicinal chemists" Med. Chem. Commun. 2011, 2, 1135.
[論文7] "Development and a Practical Synthesis of the JAK2 Inhibitor LY2784544" Org. Process Res. Dev. Article ASAP.
[参考1] "Radical Ways To Trifluoromethylate" C&EN
[関連1] Zn(SO2R)2 を用いた含窒素芳香環の C-H 官能基化反応 (気ままに創薬化学)
[関連2] すべてが F になる (化学者のつぶやき)
[関連3] 芳香族フルオロ/トリフルオロメチル化反応 (気ままに創薬化学)

気ままに創薬化学 2012年01月14日 | Comment(0) | 合成化学
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