PhOCH3 は平面型、PhOCF3 は直交型の配座

以前紹介した Klaus Müller 先生の講義資料 をご覧になった方はもうご存知だと思いますが、アニソールやチオアニソールのメチル基をトリフルオロメチル基に変えると大きくコンホメーションが変わるようです。

オルト位に置換基をもたない PhOCH3 構造をもつ化合物の結晶構造を調べるとほとんどが平面型 (Ph と OCH3 が同一平面)、PhOCHF3 構造ではほとんどが直交型 (Ph と OCF3 が直交) の配座だったようです。下図は上記の講義資料からの引用ですが、横軸が C–C–O–C の二面角、縦軸がその角度の化合物の数を表しています。


この配座の変化の原因として講義資料では、酸素からベンゼン環への共役が弱まることと、トリフルオロメチル基がメチル基よりも嵩高いことが挙げられています。


このあたりの話は Klaus Müller 先生の講義資料 の [追記] や フッ素を入れて脂溶性を下げる で紹介した論文にも書かれていたりします。ちなみに PhOCHF2 や PhOCH2F については結晶構造の数が少なかったり顕著な配向性がなかったりしてあまりはっきりしたことは言えないような感じを受けました (詳しくは論文を)。

で、Klaus Müller 先生の講義資料 の [追記] の論文 (2007 年) では結晶構造の数が少なかったけど、講義資料 (2012 年) ではデータがそろってきたものに、PhSCH3 と PhSCF3 の配座があります。結論は酸素のときと同様に、PhSCH3 は平面型、PhSCF3 は直交型に近い配座を優先するようです。


CH3 を CF3 にすることでここまで劇的にコンホメーションが変化するなんて面白いですね。その分、分子デザインや構造活性相関の解釈には注意が必要そうです。

気ままに創薬化学 2012年11月15日 | Comment(0) | 相互作用・配座・等価体
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