Fsp3 が増えると promiscuity は減少する

芳香環は3つまで! sp3炭素の割合を増やせ! で紹介した論文の続報で、Fsp3 (=sp3炭素数/全炭素数) が増えると promiscuity は減少するという報告 [論文]。内容を箇条書きでざっくり紹介。

(1) Fsp3 が増えるにしたがって promiscuity は減少する。
(2) キラル中心の数が 0、1、2、>2 と増えるにしたがって promiscuity は減少する。
(3) Fsp3 が増えるにしたがって 5 種の CYP 阻害は減弱する。
(4) Promiscuity や CYP 阻害は clogP の影響が大きいが、Fsp3 やキラル中心の数も同程度の影響力。
(5) 臨床での毒性等を考慮すると、Fsp3 やキラル中心の数も重要な指標。(上市薬の Fsp3 は 0.43)

Abbott の HTS hit の優先順位付け でも基準のひとつに Fsp3 >0.5 が挙げられていますし、Fsp3 やキラル中心の数にもケアした方がいいかもしれませんね。

[論文] "Escape from Flatland 2: complexity and promiscuity" Med. Chem. Commun., 2013, 4, 515.
[雑談] Escape from Flatland の 1 と 2 で筆頭著者は同じ (Frank Lovering 氏) ですが、前者での所属は Wyeth で後者では Pfizer になってますね。

気ままに創薬化学 2013年11月06日 | Comment(2) | ADMET・物性・特許
この記事へのコメント
いつも勉強させていただいております。
つい最近新しいプロジェクトに加入したのですが、そのリード化合物が、Fsp3=0.05 +アニリン構造という代物でした。これからどんどんマシな構造に変えて行きます。
Posted by chemko at 2013年11月07日 00:48
> chemko さん
素敵なリード化合物に当たられたようですね。笑。
色々課題がありそうで大変だと思いますが、頑張ってください。

釈迦に説法だと思いますが、Ro5 などと同様に Fsp3 が低ければ即ダメというわけではないでしょうし、ターゲットによっては Fsp3 が低くならざるを得ない (低くても許容される) 場合もあるとは思います。例えばキナーゼ阻害剤などは Fsp3 が低い化合物が多いように思います。

一方で、論文に 「ここ 10 年で Fsp3 が減少傾向にある」 という内容が書かれていますが、やはり最近報告されている化合物を見ると Fsp3 が低すぎることも多いようにも思います。カップリング反応、アミド化、芳香族求核置換反応ばかりに頼りすぎることなく、本当にいい化合物をデザイン、合成できるようになりたいものです。
Posted by 気ままに創薬化学 at 2013年11月08日 23:24
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