増炭して脂溶性が下がるケース (3)

増炭して脂溶性が下がるケース (1) では 『2つ環化するように増炭する場合』、増炭して脂溶性が下がるケース (2) では 『分子内水素結合を切るような形で増炭 (N-メチル化) する場合』 に脂溶性が下がることを紹介しました。それでは 『環化しながら分子内水素結合を切るような形で増炭する場合』 はどうでしょうか?

2011 年 JMC より、Pfizer の HIV-1 ntegrase inhibitor の報告 [論文]。下図左の化合物から一炭素増やす形で環化して配座固定すると活性が 2 桁向上し、log D が 0.65 も低下。脂溶性の低下に関しては、おそらく 「環化」+「分子内水素結合の切断」 のダブル効果によるものと思われます (私見)。


化合物のデザインコンセプト。活性配座を下図左のようにマグネシウムに配位したものと推定していましたが、上図左の化合物では立体反発・双極子相互作用・分子内水素結合の影響で推定活性配座とは異なる下図右の配座が最安定配座 (最安定配座と推定活性配座のエネルギー差は 5.9 kcal/mol)。そこで、推定活性配座に近づけるために、上図右のような環化による配座固定に至ったようです。


『環化しながら分子内水素結合を切るような形で増炭する場合』にも脂溶性が大きく下がる (こともある) ようですね。

[論文] "Design and Synthesis of Novel N-Hydroxy-Dihydronaphthyridinones as Potent and Orally Bioavailable HIV-1 Integrase Inhibitors" DOI: 10.1021/jm200208d

気ままに創薬化学 2014年03月06日 | Comment(0) | ADMET・物性・特許
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