ベンゼン環の等価体にシクロブタン環

シクロブチル環をオレフィンやベンゼン環の代わりに では、分子中央のベンゼン環の等価体としてシクロブタン環を利用した例を紹介しました。先週報告された Amgen の PDE10A (Phosphodiesterase 10A) 阻害剤 [論文] でも同様の展開がなされていました。


上図のようにベンゼン環をシス型あるいはトランス型のシクロブタン環に置き換えたところ、同等以上の活性の化合物が得られました。面白いことに、酵素と化合物のX線共結晶構造解析によると、シス型もトランス型もほとんど同じ結合様式なのです (シス型とトランス型で両端のヘテロ芳香環がほとんど重なる)。一見シス型とトランス型で立体的な形が大きく違いそうなものですが、ほとんど重なることもあるようです (阻害活性の差は約 4 倍)。

また、シクロブタン環の代わりにシクロヘキサン環 (相対配置の記述なし) にした場合には IC50 は 271 nM で大幅に活性低下、「ベンゼン環 → シクロヘキサン環」よりも「ベンゼン環 → シクロブタン環」の方が活性保持になっているのも興味深い知見です。論文によると、シクロヘキサン環は嵩高すぎて酵素の狭い空間にフィットしないから活性が大幅に低下したと推測されています。平面的なベンゼン環により近いのは、シクロヘキサン環よりもシクロブタン環ということでしょうか。

[論文] "Discovery of Novel Imidazo[4,5-b]pyridines as Potent and Selective Inhibitors of Phosphodiesterase 10A (PDE10A)" DOI: 10.1021/ml5000993

気ままに創薬化学 2014年04月03日 | Comment(2) | 相互作用・配座・等価体
この記事へのコメント
私が関わったプロジェクトでも、trans-シクロブタンが芳香族六員環の等価体として機能しました。ただその化合物に関して言うと、もともと低かった水溶性が一段と低くなってしまいました。
Posted by chemko at 2014年04月20日 00:06
> chemko さん
いつもコメントをありがとうございます。
脂溶性や分子量の観点から溶解度は同等以上かと勝手に思っていましたが下がることもあるのですね。置換基によってはベンゼン環よりも平面性が上がってしまう場合もあるということでしょうか。
Posted by 気ままに創薬化学 at 2014年04月22日 21:38
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