先週の Science に創薬化学に使えそうな反応が Baran 研から報告されていました [論文]。上図のように、ニトロアレンとオレフィンから立体的に混み合った2級芳香族アミンが生成する反応です。
窒素原子の隣の炭素原子に炭素置換基が3つ結合した構造 (N-CR1R2R3) は、医薬品や医薬中間体に含まれることがありますが、構造によっては合成が難しかったり大変だったりするかと思います。この反応をうまく使えばサックリ作れるかもしれません。
論文は Bristol-Myers Squibb の研究者も共著で、実際に医薬中間体を短工程で合成したり、drug-like な building block も合成しています。収率は 40-60 %程度が多いですが、官能基許容性は高いようです。論文には 100 以上の反応例とともに上手く行かない基質に関する記載もあり親切です。Baran 研のブログ [関連1] にも、上手く行かない基質や開発秘話が載っています。
[論文] "Practical olefin hydroamination with nitroarenes" Science 2015, 348, 886–891. (DOI: 10.1126/science.aab0245)
[関連1] Formal Olefin Hydroamination With Nitroarenes (Open Flask)
[関連2] 官能基化オレフィンのクロスカップリング (化学者のつぶやき)