約 4 年前に ベンゼン、シクロブタン、ビシクロペンタン という記事で Pfizer が bicyclo[1.1.1]pentane (以下、ビシクロペンタン) 構造に力を入れているという話を紹介しました。そして最近 2016 年初頭に、Pfizer と Baran 研の共同研究で、二級アミンのビシクロペンチル化反応が Science 誌に報告されました [論文]。
アミンを対応するターボアミド (R1R2NMgCl・LiCl) にして反応させるのが肝のようです。またこの方法はスケールアップも可能で、Pfizer のビシクロペンチルアミン構造をもつ臨床候補化合物のプロセス合成にも使われているそうです。論文では drug-like な二級アミンのビシクロペンチル化も行っていますので、創薬化学でも重宝しそうです。
論文では "Strain-release amination" というコンセプトでビシクロペンチル化反応だけでなくシクロブチル化反応やアゼチジン化反応にも展開しています。また詳細な開発経緯が Baran 研のブログ [関連] に公開されています。
[論文] "Strain-release amination" Science, 2016, 241. (DOI: 10.1126/science.aad6252)
[関連] Strain-Release Amination – Your Guide to Make Super-Paxil! (Open Flask)